映画「TOMORROW パーマネントライフを探して」

「TOMORROW パーマネントライフを探して」を渋谷のイメージフォーラムで見た。

監督はフランスの女優、メラニー・ロラン。
英国の科学雑誌「ネイチャー」が発表した”このままでは人類は滅亡する”という記事を読んだことがきっかけで、メラニーは仲間たちと一緒に、自分たちに何ができるかを世界中に探りに行く。
米国、イギリス、ドイツ、フィンランドなどのさまざまな分野の識者、実践家の話を聞き出していくドキュメンタリー映画だ。

教育、エネルギー、地域通貨、農業、工場、リサイクル、政治などテーマは多岐にわたり、持続可能な社会づくりへの取り組みが短時間の映画の中で手際よく紹介されている。これだけのケースをまとめて知ることができるだけで、とても便利で、お得なツアーのよう。

震災をきっかけに、持続可能な経済、社会への転換が進むのではないかという一時の期待ムードがうそのように、日本では「パーマネントライフ」への動きは何年間も停滞が続いている。

いつのまにか、日本が世界から取り残されていることを思い知って愕然。
しかし、同時に「やっぱりこの方向だ」という確信も再び湧いてくる。

◎ 上映情報

神奈川 川崎市アートセンター 2017/3/25(土)〜
群馬 シネマテークたかさき 2017/4/1(土)〜
石川 金沢シネモンド      2017/4/8(土)〜
長野 松本CINEMAセレクト      2017/3/26(日)のみ
岡山 シネマ・クレール      2017/3/18(土)〜
大分 日田シネマテーク・リベルテ 2017/4/8(土)〜
宮崎 宮崎キネマ館      2017/4/8(土)〜
鹿児島 ガーデンズシネマ      2017/4/15(土)〜
沖縄 桜坂劇場         公開中〜2017/3/17(金)

多彩なインタビューの中で、「おっ」と目が開いたのが、米国の経済学者で社会思想家のジェレミー・リフキンが登場していたこと。

彼の著書「エントロピーの法則」という物理学の教科書みたいな題名の文明批評の書を読んで大きな衝撃を受けたのは大学生の時、以来、ジェレミー・リフキンの名は、私の心に深く刻まれてきた。

彼の本でいうエントロピーについては、生産や消費に莫大なエネルギーを使い、手に負えないゴミを産み出すことに無頓着な企業、社会批判として受けとめている。

自然と人、生き物に対する無理な存在の最たるものが原子力(核)発電だが、エントロピーの高いシステムは、一見目先の利益を産んでくれるように見えて、長期的には生命に対して有害で破壊的だ。(経済的にも採算が合わないことはWH、東芝が実証)

それに対し、自己を形成し、成長する生命活動は「負のエントロピー」を産み出していると表現される。身近なところでは、味噌、納豆、漬物などの発酵食品も、微生物が「負のエントロピー」活動をしていることで、私たちの体内環境を整えてくれている。

ジェレミー・リフキンは「第三次産業革命」を提唱して、ドイツのメルケル首相も意見を求めるほど、現在も注目を集める存在。
日本が方向転換に成功すれば大きく世界をリードする可能性があると、2年前にも国内雑誌に寄稿している。

資本主義からシェアリング・エコノミーへデジタル革命の真のインパクトを読み解く第三次産業革命のブレーンが描く、衝撃の未来図!(東洋経済)

文 : 小林 正廣