スーパーフードを追いかけてきた人が 見直す日本茶の効用。その1

お茶に期待される、抗がん作用。

1990年頃に行われた胃がん調査で、静岡県中川根町(当時)は全国平均100に対して、死亡比が男性で20.8、女性では29.2という驚きの結果がでました。これがきっかけとなり、お茶の抗がん作用の研究が進み、動物実験では、発がん剤を投与した動物にお茶を飲ませると発がん率が減少することが確認されています。お茶には多様な成分が含まれていますが、抗がん作用の主な担い手は、緑茶ポリフェノールであるカテキンの中のエピガロカテキンガレート(EGCG)であるとされています。

お茶に、ダイエット効果あり。

緑茶には肥満抑制作用(脂肪蓄積を抑制する)があることが実験で確認されています。マウスに緑茶粉末を2%混ぜたエサを4ヶ月間与えたところ、エサ食べる量が変わらないのに、通常のエサを与えたマウスと比べて、腹部の脂肪が60%も少ない状態でした。また、血液中や肝臓中の脂肪の量も著しく減少していたのです。 さらに、緑茶の主成分であるカテキンとカフェインを組み合わせて与えても、同様の結果を得ました。これにより、茶カテキンとカフェインが肝臓や脂肪細胞の脂質代謝を改善することや、体内の熱産生機能を促進することがわかり、運動と緑茶成分の摂取をすれば、効率よく脂肪を燃焼させて、ダイエットにつながることがわかっています。

お茶は血圧上昇を抑え、動脈硬化を予防する。

毎日120cc(湯呑1杯)以上の緑茶を1年以上飲み続けている人は、緑茶を飲む習慣がない人と比べて高血圧を発症する危険性が46%も低いという疫学調査の報告があります。豪物実験でも、緑茶ポリフェノールを与えると血圧上昇が抑制されることが確かめられています。緑茶には血管拡張を促進すると同時に、緑茶ポリフェノールによって体内の活性酸素を除去する働きがあるので、血圧上昇が抑制されるというメカニズムが働くようです。 お茶は動脈硬化の予防にも効果があります。茶カテキンは、消化管から血中に入り、血管内の過剰なコレステロールと結びつくある種のタンパク質の酸化を抑制し、そのことで動脈硬化の発症・進展を予防すると考えられています。

お茶は血糖値の上昇を防ぎ、糖尿病の予防に貢献する。

茶カテキンは、糖質の吸収を穏やかにします。食品の糖質は、消化酵素によりブドウ糖や果糖に分解された後、体内に吸収されますが、茶カテキンは消化酵素の活性を抑えることで、体内の糖質吸収量を減少させ、血糖値を低く抑える働きをします。 お茶が、人の体内で血糖値上昇を抑制する作用を明らかにするために、菓子パンに抹茶0.75gを混ぜて、血糖値の変化を抹茶を混ぜない菓子パンと比較する実験を行った結果、食後45分および60分で、抹茶パンは糖質の吸収が低く抑えられていることが明らかになりました。さらに、糖尿病予防の観点からも、茶カテキンは糖質吸収抑制の他にも、インスリン分泌の促進、筋肉へのブドウ糖取り込み促進、抗炎症作用など、マルチな作用を持つことがわかってきています。

ふだんの食卓で、さりげなく親しめるのが日本茶のよさです。より意識的に日本茶を飲むことで、緑茶の有効成分を取り込む量が増え、健康増進につながるなら、実行しない手はありませんね。

出典『お茶の効用を科学する(最新版)』静岡県茶業会議所

無農薬のお茶を栽培している茶園はここ

人と農・自然をつなぐ会(静岡県)

約40年間以上、無農薬のお茶を栽培し続けているのが、静岡県藤枝市の「人と農・自然をつなぐ会」の杵塚さんご一家です。代表の杵塚敏明さんが「農薬を使っていないお茶を飲みたい。あなたが作ってくれませんか」と主婦のひとりから真剣に求められたのは1976年のこと。無農薬茶を求める消費者の切実な声を聞いた杵塚さんは我が意得たりと決意し、生産者と消費者が一緒になって安心・安全なお茶を作ろうと、「無農薬茶の会」を発足。現在では、多種の緑茶、ほうじ茶から和紅茶まで幅広い製品を手掛けています。

八万寿茶園(鹿児島県 屋久島)

八万寿という名前は、茶園の開拓した創業メンバー3名の頭文字を組み合わせたのが由来だそうです。完全無農薬にもかかわらず、この地に植えられた苗木が大地にしっかりと根付き、元気に育つ理由は、山林や原野を深く耕した山の土が、茶の木に適しており、病気を寄せ付けないということにあります。 何千年、何百年と屋久島の貴重な生態系を守り続ける屋久杉の根は雨水を貯めこみ、川の流れをつくり、海へ流れてゆきます。その水をたっぷり吸収した茶の木は、雑草や油粕などの自然肥料を栄養として豊かに育っています。