”気まぐれな猫”が持つ、人への健康効果

photo:Juns Kitchen

猫を飼うことは、心身の健康にプラス効果を持つ

猫とのふれあいで得られる癒しを求めて、ペットとしての猫の人気は高まる一方です。ネット上では毎日、猫の動画が何万もの“いいね”を獲得しています。

世界中の研究者が、猫を飼うことは飼い主に有益な健康効果をもたらすと報告しています。猫を撫でると飼い主の血圧や心拍数が低下する傾向があり、猫を飼う人は心筋梗塞や心血管疾患による死亡リスクが低下するといわれています。
また、メンタル面では猫は飼い主の感情的なサポート役となり、否定的な感情を減らすことができます。

“猫の気まぐれさ”は、人の脳機能を活性化する

東京農大大学院でアニマルセラピーの研究をしている永澤巧さんは「猫とのふれあい」で人の脳機能がどう変化するか実験を行いました。実験は4種類の「猫とのふれあい場面」を設定して、各場面の脳機能の活性度を測るというものです。

ヘッドギアのような測定器を実験の参加者につけてもらい、永澤さんの実験室に住む大型の猫、ラグドール種に対して、30人の参加者が猫との「ふれあい場面」を再現しました。
その結果、4種全てのふれあいかたで、人の脳機能は活性化しましたが、とりわけ猫に「お手」の指示を出して、その反応を見る場面で最も高い活性度を示したということです。


photo:東京農業大学大学院 永澤巧氏

実験した4種の「猫とのふれあい場面」

お相手をしてくれる猫は、人が命じると“お手”をすることができます。

○ 餌・水を与える
○ おもちゃで遊ばせる
○ 猫に対して指示命令を出す(お手をさせる)
○ 撫でる・ブラッシングする

測定指標① 「ふれあい成功率」(どれだけ思い通りに動いてくれたか)

30名の参加者がうまくいったと回答したふれあい場面は、

1位:餌・水を与える ※成功率75.65%
2位:撫でる・ブラッシングする
3位:おもちゃで遊ばせる
4位:猫に対して指示命令を出す(お手をさせる) ※成功率35.46%

という順になりました。気まぐれな猫の姿が目に浮かびます。
同時に測定された脳機能の活性度を見ると、

脳機能の活性度(酸素化ヘモグロビン濃度の有意な上昇)

1位:猫に対して指示命令を出す(お手をさせる)
2位:撫でる・ブラッシングする
3位:おもちゃで遊ばせる
4位:餌・水を与える


図版:東京農業大学大学院 永澤巧氏

という順番で、脳の前頭前野が活性化しました。参加者は猫に「お手をさせる」場面でもっともわくわく、どきどきしていたようです。測定値は「撫でる・ブラッシングをする」「おもちゃで遊ばせる」「餌・水やり」の順で続きますが、「餌・水やり」はほとんどうまくいくので、参加者にとっても、できて当たり前という感じでしょうか。
永澤さんはこの結果を、「気ままな猫がいうことを聞いてくれた場面で、人の脳機能は最も活性化している」とまとめています。犬、ウサギの場合は?あるいは人間同士の場合は?など、いろいろと測定したら面白そうで興味は尽きません。

「撫でる」だけで活性化する点にも注目

永澤さんが発表したグラフを見ると、「お手」に続く「撫でる・ブラッシングをする」場面も、ずいぶんと脳機能が活性化しているようです。「撫でる」という、一見なんでもないことが、飼い主の脳機能を刺激してくれる。
猫を何匹も飼う愛好者が増えているのも、うなずける気がします。

猫がお手をするのは、動画で見たことがありますが、これまで身近なところではお目にかかったことがありません。どんな風に教えたら、お手をしてくれるのでしょうか。


photo:Juns Kitchen

Juns KitchenのJunさんが「猫にお手を教える」という動画で説明してくれています。

「最初は、飼い主から前足をもってあげる。猫がそれに慣れるまでやる」
「そのうちに、猫のほうから前足を上げる時が来ます」
「そうしたら、前足を握ってすぐに餌をあげる。複雑なことはしていません」

猫を複数飼いしている場合は、他の猫が「お手」をするのを見て理解が進みやすい。
可愛らしい仕草を、どうぞ動画で見てください。

出典:東京農業大学大学院、永澤巧さんの記事猫とのふれあいは人の脳機能を活性化させる? – 猫の”きまぐれな”気質が秘める健康効果

YouTube猫に「お手」を教える
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