保護猫の譲渡会に行ってきた

保護猫ボランティアさんとの出会い

保護猫をお世話する活動をしている人とたまたま会う機会があり、ボランティアたちが野良猫を捕獲して保護し、里親に送り出すという一連の活動があることを知った。

保護した猫のケガや病気を治療したり手間暇を惜しまないボランティアたちの精力的な活動ぶりに感心すると共に、最初は威嚇ばかりする野良猫が、しだいに人に心を開いていく姿に興味を持つようになった。

”うちも保護猫を受け入れようか”

猫を飼う予定はなかった我が家で、保護猫の話題は出ては消え、思い出したように再燃というサイクルを繰り返し、そしてついに譲渡会に参加です。

2019年度には約3万3000頭の犬・猫が殺処分に

2019年4月から2020年3月までの1年間で、保健所に引き取られた犬・猫の数は、約8万6000頭(犬3万2555頭、猫5万3442頭)で、里親のもとに行けずに殺処分となった犬・猫の数は、約3万3000頭という。※環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」

1992年にさかのぼると約87万頭もの犬・猫が殺処分にされていたということに驚く。2012年に施行された動物愛護管理法改正では「都道府県等に、引き取った動物について、殺処分がなくなることを目指して、返還・譲渡することの努力義務」が追加され、行政とボランティア団体、個人の努力によってここまで殺処分を減らすまでにいたっている。

全国の犬・猫の殺処分数の推移

全国の犬・猫の返還・譲渡数の推移


図はいずれも「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」より

全国の保護猫・犬ボランティアさんたち、行政の皆さん、本当によくがんばりましたね。

保護猫の譲渡会に行ってみた

保護猫、保護犬さんと出会うには、自治体の動物愛護センターや保護団体等が主催する譲渡会に行くか「ペットのおうち」等のマッチングサイトを利用して個別のお見合いをすることになる。無料掲示板にも譲渡希望が掲載されているが、はたして?

そんな中で、実際に筆者が訪ねてみたのが「保護猫譲渡会カフェ こまばサロン暖炉」が開催している譲渡会だ。

「本気の譲渡会」

こちらの譲渡会は「本気の譲渡会」と正面から掲げているとおり、真剣に猫を飼育することを決めている希望者を対象としている。多い時は30頭~40頭くらいの猫たちが里親候補者を待っている。

会場は毛色、柄、年齢もさまざまな猫がいて、猫まみれの時間をすごせる。(感染防止等のため、抱っこは基本的になし)

家族として迎えたい猫を見つけ、里親を希望する人は所定のアンケートと書式に記入し、トライアル(試し期間)を申し込むことになる。

保護猫の里親への斡旋活動を支えているのは、会の中心となるメンバーと、猫を預かってお世話をする”預かりさん”と呼ばれる多数のボランティアたちだ。預かりさんたちは日頃は猫を自宅でお世話し、譲渡会のたびにキャリーケースで猫を連れてくる。

猫たちは、多頭飼育が立ち行かなくなったブリーダーや飼い主の不健全なカオス状態、あるいは公的な動物愛護施設で殺処分を待つという、生存の危機の一歩手前から救いあげられてくる。

ボランティア活動でなんとか殺処分をしのいでいる現実

こうして譲渡会でケージに入ってお見合いになるまで、猫たちはウイルス、エイズ、白血病の検査、寄生虫駆除、去勢手術、その他野良猫にありがちな、さまざまな疾患の手当を受けたり、人馴れする期間を経てきている。

保護猫ボランティアは、多大な時間と費用、労力を投じて、小さな生命のために尽力しているのだ。

模範的な取り組みをしている行政もあるが、その拠点数は限られている。民間ボランティアの活動がなければ、あっという間に殺処分数は増加に転じるかもしれない。

そして我が家に奄美の猫「ボブ」がやってきた

猫初心者の我が家も「本気の譲渡会」の皆さんのおかげで、飼育未経験者にぴったりの穏やかな猫を引き合わせていただいた。
奄美大島では天然記念物であるアマミクロウサギを保護するために、野良猫が計画的に駆除されているのだが、そこで捕獲された個体だ。
「ノネコ」と呼ばれる奄美の野良猫は、捕獲後の期限までに引き取り手が現れないと殺処分にされる。この動きを知った東京、神奈川のボランティアたちが、はるばる航空輸送で奄美の猫を引き受け、地道かつ継続的に譲渡会で里親に斡旋しているのだ。

ボランティアさんの間で「かけろま」(奄美諸島の島の名前)と呼ばれていたこの猫は、おっとりしたゆるい性格が印象的なので、ゆったりしたレゲエミュージックの巨人、ボブ・マーレーにちなんで「ボブ」と名付けられた。

かわいい。和ませてくれる。

気ままで、ときおり野生を見せたりして、人の感性をハッとさせてくれる。

いったい、今まで猫なしでどうやって暮らしていたのだろう?

「保護猫譲渡会カフェ こまばサロン暖炉」

「保護猫譲渡会カフェ こまばサロン暖炉」では、ほぼ毎月2回、「本気の譲渡会」を開催している。
(会場はもともと普段はレンタルスペースとして経営されている昭和モダンの素敵な邸宅だ)

開催日時:毎月第1、第3日曜 13:00~17:00 (予約方法などの詳細はfacebookページでご確認ください)

強力かつ親身なボランティアによって運営されている保護猫活動。
facebook:保護猫譲渡会カフェ こまばサロン暖炉@nyankomaba

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