毎日少しだけの「ちゃんと」が自分を支えてくれる

しっくりときて、よい文章を見つけた。

長くなりますが、本の紹介にもなるので引用します。(「古来種野菜を食べようぜ」高橋一也著より p275~ 晶文社刊)

「僕は料理家ではないから、複雑なことはできない、ということもあるのだけど、焼いて、蒸して、茹でて、塩だけ、とか、醤油とお出汁と、とか。
野菜は一度だって、同じ味をしていない。同じ大根を、同じように調理しても、まだ若い大根の何をしても瑞々しいフレッシュな感じと、立派に成熟した大根の一口の重厚さ。それぞれに全然違うから、その味に毎回新鮮さが残って、ずっとその調理法でも、毎日食べられる。

さらに、日本在来の野菜たちだから、和食にすっと馴染むことの方が多く、和食といっても、出汁のひきかたひとつで、そのバリエーションは一気に広がる。
大根の種類によっては、煮込みすぎると、スープに味がうつりすぎて苦味がでてしまうものもあれば、厚手の鍋で塩と昆布だけでかために茹でて、半日ほど寝かすとすっかり違う味になったりもする。
その、違いを楽しめるようになると、家の中の調味料がすっきりしてくる。さ(砂糖)、し(塩)、す(酢)、せ(醤油、そ(味噌)と野菜だけで台所が整っていく。

そして、毎日の同じことのくり返しが、こんなにも心を穏やかにするということを、この野菜たちが教えてくれた。質素な食の連続が心を満たしてくれる。
毎日少しだけの「ちゃんと」が自分を支えてくれる。

そして外食をすることがもっと楽しくなる!普段食べないものを食べてみたい、とか、だったら思いきりおしゃれをして、一流のレストランに食べにいこう。もしくは赤い提灯がさがる、煙がモクモクと漂っているような、そんなお店に出かけよう。
そしてまた、自分の食に戻ってくる。あぁ、やっぱりこの食事が落ち着くなぁって、この戻ってくる感じ、なんとも、言えない、幸せだよね。」(引用終わり)

TBS「EARTH Lab」、テレビ東京「ガイアの夜明け」からも出演依頼された、日本の古来種野菜の八百屋さん、warmer warmerの高橋一也さんの著書「古来種野菜を食べてください。」(晶文社刊 ¥1,650税別)です。
タルマーリー、渡邉格さんの著作「腐る経済」と並ぶ、おすすめの本と思いました。