Chapter 01
自分の心の声に耳を澄ませる人たち
11歳、家族旅行でカメラに夢中になる
エバレット・ブラウンは、米国ワシントン州の牧師の息子として生まれた。祖先はウェルズとスコットランドの出身で、農民らしいつつましさと信仰心を持ち、そして何よりも自分自身の心の声を耳を澄ませて聞こうとする人たちだった。父親は第二次大戦の従軍で、敗戦間もない焦土と化した日本を訪れたことがあり、その悲惨な光景を見た経験から牧師を志したという。両親に伸び伸び育てられたエバレットは、幼い頃から、偏見や先入観の強い保守的な人間に出会うと、すぐに肌で違いを感じる子どもだった。
11歳の時、父母と3人で旅行にいった。エバレットは旅の写真撮影を任された。ファインダーごしに初めてのぞく世界は、肉眼とはまったく違う様相で表れた。撮影に夢中になったエバレットは、今まで知らなかった別人格の自分が現れることを感じていた。「そうして写真にものすごくはまって、家に帰ってすぐに安い一眼レフカメラを買ったのです。14歳の時に画家の絵を撮影する仕事ではじめてお金をもらいました。出来栄えに満足してくれて、続けて注文してくれたからそれはうれしかった」