横浜1.15 「脱原発世界会議」。「チェルノブイリとフクシマから教訓を学ぼう」のセッションでは、チェルノブイリのNGO運営者、現地に詳しいジャーナリスト、日本の市民活動家、福島在住のお母さんらを中心にして、満員の会場の人々が交流しました。
写真右、アントン・ヴドヴィチェンコさんは学生時代にチェルノブイリ事故を体験し、父親が事故の1年後に設立したNGO「ラジミチ・チェルノブイリの子どもたち」に参加。知的障害を持つ子どもたちのお世話などをしています。はじめはお年寄りの支援をしていましたが、次第に子どもたちのサポートに重点が移ったそうです。
来日の目的は、互いの経験をシェアし、少しでも力になりたいという意志からです。
「事故の後、私たちの生活は全く変わってしまいました。医師、技術者など専門家は街を離れてしまい、後に残された人たちは仕事も希望を失いアルコールにおぼれていきました」
「放射能の影響の科学的な立証は難しいといわれますが、私の見るところでは障害の原因が放射能であることは明白だと思います。調査によるとロシアの他の地域に比べチェルノブイリ、プリピャチなど汚染地域では知的障害を持つ子どもの数は3倍です」。
アントンさんは、数年前「チェルノブイリ・インフォメーション・センター」を設立し、”何が危険で、何が安全なのか”、さまざまな情報を発信したり、子どもたちのサマーキャンプなどの活動を行っています。
「数週間でも汚染地域を離れることは、子どもたちの健康にとってとてもよいこと」だといいます。
「科学者を集めて会議を開くことも重要だが、子どもたちと一緒に遊ぶ機会を設けたり、未来に明るい希望を持てるようにすることが大事だと思いながら活動を継続している」。
実践者がいつもそうであるとおりに、アントンさんの声はとても穏やかで、淡々としています。
セッションで発言した南相馬のお母さんは、2月にはチェルノブイリを視察に訪れるそうです。
静かに、国境を越えた交流が始まりつつあります。