新型コロナウイルス関連:ピックアップ(4月6日)

よりよい行動をとるための情報

新型コロナウイルス(Covid19:Coronavirus disease 2019)について、
日頃ウォッチしているSNSのタイムラインから、これは多くの人に知ってほしいと
感じたものを紹介します。

横浜市立大学・佐藤彰洋教授による「COVID-19情報共有」

佐藤彰洋教授は、統計学、情報科学の知見をもとに、感染症・ウイルスの伝播シミュレーションを専門に手がけるデータサイエンティストです。

今回の世界的な新型コロナウイルス感染は、”100年に一度のパンデミック(世界的感染)”といわれ、現在生きている人のふだんの常識が役に立たない疫病です。

根拠のない楽観的なコメント、あるいはただ不安をあおる噂、そのどちらでもなく、情報科学によって現在と近い将来の状況を把握・想定し、よりよい行動をとるために役立つ情報を、佐藤教授は発信しています。

何を警告しているか

佐藤教授は警告します。(※「」内引用:一部略)

「爆発的な感染拡大「オーバーシュート」と呼ばれている現象は、感染者数の指数関数的な増加の現象をさしています。この爆発的感染拡大が発生しますと、日本国の全人口に向かって1週間で約10倍の増加速度で感染者が増加していきます。この事態になると基本的に制御不能です。」※(引用)

「停止させるためには極めて厳しい都市封鎖と移動制限を課す以外に道がなくなります。これが起こり始めるのは、4月9日頃、そして我々の意思決定でそれを制御できるのはその14日前の3月26日頃でした。」※

すでに、過去形で語られていることに注意。

「更に全国的に見ますと、感染者数が3000人~5000人を超えた当たりで医療と隔離の容量を超過した段階で一気に現在の感染率が上昇し、この爆発的感染拡大が始まります」※

端的に書けば、感染者が病院からあふれてしまうと、隔離効果がなくなり、感染が次々と拡がるということ。

「私の計算では、何もしないとやはり、4月9日からこの医療容量の超過が始まりまして、感染者数を1万人超えたところから、10万人までのその1週間後、100万人までのその2週間後、1000万人までその3週間後と増加していきます。」※

「おそらく100万人を超える当たりから、あらゆる産業セクターで感染者が確認されるようになり、産業活動を再起不能な形で停止する以外に道がなくなります。」※

何をすべきなのか

物事が悪くなりはじめたら、思い切って捨てる、あきらめるほうが、早くよくなることは、誰でも経験的に知っているし、自然の理にかなっているのだろう。

佐藤教授が強く訴えていることは、実に明快、シンプルだ。

「(略)このウイルスとの闘いが、「長期戦」であるとか、「ウイルスとの共存が可能」であるという幻想は捨て、『ウイルスを消滅させるか我々がウイルスに消滅させられるかの二者択一の問題であり、その意思決定は、我々がこの2週間の行動をどうするかで全て決まる』ということを強く主張させていただきたい。」※

「具体的行動としまして、この2週間で不要不急の外出だけでなく、生命維持に直接かかわらないあらゆるヒトとの直接接触を伴う社会活動を完全に停止させるレベルで経済社会活動を低下させて頂きたい。

『経済を蘇らせることは、死者を蘇らせるよりはるかに容易なのです。』」※

具体的な活動レベルのイメージ

佐藤教授は、私たちの暮らし、活動を3つに分類します。

1次活動・・・生命維持に必要な活動

2次活動・・・社会的に必要な活動

3次活動・・・その他余暇や自己啓発など

日本人の平均としては、1次(45%)、2次(28%)、3次(27%)となっているらしい。

生活時間トータルで、通常の10%の活動レベルを目指した場合のイメージを佐藤教授は以下のように示す。

「出勤・開店・登校が週5日だった人の場合、2週間に1回以下に抑える。現在直接人が会って行っているイベントまたは会議の平均出席人数を1/10にする。または、現在人に会って行っているイベントまたは会議の参加回数を1/10にする。残りの9/10は電子メール、電話、チャット、ビデオ会議に置き換える。」※

ショッピング・・・これまでの10回に行く期間で1回に。

交通機関の利用・・・これまでの回数を1/10に。または、乗車時間を1/10に。

しかし、すでに感染増加のカーブが想定よりも急上昇している東京ではさらに厳格な制限が必要だ。

「より厳しい、東京都における2020年3月28日現在の減少目標値 1.8%の場合は、よりこれが厳しくなります。」※

ショッピング、交通機関の利用、その他の活動は、2週間で約1.67時間に減少させなければ、ウイルスを消滅させる状態にまで持ち込めないというのだ。

このように、統計・情報科学の世界が示す、新型コロナウイルスへの対抗策は大変厳格で、これまでの常識を覆すものだ。

しかし、ペスト、天然痘、スペイン風邪と同等の歴史的パンデミックを、科学的に社会的な行動を変えることで短期間で収束させるためには、ここまでやらなければならないのだ。

中国、イタリア、イギリス、米国、その他諸国は、程度の差はあれ、基本的な考え方は変わりなく、可能な限りの社会的距離戦略を継続している。

我々のきょうの行動が、約2週間後の自分たち、そして社会状況を決めていく。

出典:COVID-19情報共有 — COVID19-Information sharing By Prof. Dr. Aki-Hiro Sato

ナチュラルクエスト 小林 正廣